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料理上手は聡明である?という話

ある本との出会い

以前、予定が空いて時間を持て余していた時に、ふらっと某無印良品店に入った時があった。一通り無印良品の店内を歩いて品定めをして、なにか料理本でも読もうと本棚コーナーに入ったとき、1冊の本が目に止まる。

「聡明な女は料理が上手い」 作:桐島洋子
 
70年代に書き下ろした本の復刻版だそうで、インパクト大のキャッチなフレーズ。
面白そう。早速、無印良品の簡素でステキな椅子に腰かけて最初の数ページだけ読んだ。
たぶん高度経済成長期中の70年代頃にしては斬新な発想で、女性の社会進出を後押しするようなキャッチ。日本は戦前からの「男が仕事、女は家庭」の考えが根強くあり、男性からは煙たがれる内容だったには違いないが・・
女性からしてみれば男性社会へ踏み込んで行くための武器になるような、力強い後押しであっただろうし、当時のベストセラーになるのも頷ける。
最初の数ページでそう感じて、数ヶ月後に最後まで読んだ方がよさそうだと
この本の記事を書くことを決めた。
 

数ヶ月後に本を購入

夕方から市中の本屋やら図書館・古本屋をあたる。Amazonが一番楽だし中古本も購入できるからいちばん楽だと知っているけれど「いますぐ読みたい!」には勝てない。だが、この本。なかなか見つからず、日も暮れて子どもの世話もあるので、わけを話して本屋に在庫があるか夫に電話をしてもらった。
 
夫「もしもし、本を探していて」
店員「著書名と作者を教えてください」
夫「はい。聡明な女は料理がうまい」
店員「わかりました。お調べします。」
「在庫がないので、1日2日お時間いただければ、お取り寄せできますが・・」
「こちら婦人の本になりますが、よろしいでしょうか?」
 
ご丁寧に”婦人の本”と定義してくださった店員さんもいた。
題名が強烈なインパクトがあるので、男の人なら訪ねるのに躊躇してしまうだろうに
夫はお構いなく、淡々と滑舌良く電話越しの相手に伝える。
営業職って躊躇ないのね。すごいわと感心するとともに、些か滑稽であったが
夫の協力なしでは本は見つからない。
結局は、5回目の電話で数ある書店にはなく某無印良品店に置いてあり、
さっそく夕飯の支度を済ませて、本を購入。
 
 

本を読む

読んでみると、時代を感じさせる表現はあるものの、身構えてしまうようなタイトルとは裏腹にお料理上手な筆者の男勝りでささっと手際よく作る料理のレシピ、おもてなし料理の数々が抑揚よく書かれている。いい匂いが漂いそうとか盛り付けもきっと素敵なことでしょうと、想像が掻き立てられる文章力に圧巻だし、爽快な表現力にとても好感が持てた。

 

料理上手=聡明か?

 
料理は極めて知的な作業である。男性的で自由な発想で家事を合理的に再編成し台所を賢く支配しよう。果断な決断力、大胆かつ柔軟な発想、ゆたかな包容力…。世に「男性的」といわれる資質こそすぐれた料理人の必要条件だ。それなのに男達が女を差別して「男性的」な世界から疎外するから、女はいよいよ女性化して料理がヘタになる。男まさりのいい仕事をしている人ほど料理の手ぎわがいい。すぐれた女はすぐれた料理人なのである。女ひとりの優雅な食卓からパーティのひらき方まで。
「BOOK」データベースより引用
 
料理とは「果敢な決断と実行」の連続であり、「大胆で柔軟な発想力」が必要であると筆者は説いている。確かにその通り。料理本やレシピと睨めっこしている時間もいいが、出来上がりをイメージしながらその場その場の機転でささっと美味しく作れる料理人こそが聡明な人の定義に当てはまるのだと思う。それは男性も然り、同じことが言えるのだろう。

また、聡明とは頭の良し悪しではなく、物事の理解が速く、状況判断から周りに対する配慮ができる賢さを持っていることであり、人格品格申し分ない人を指す。

料理は五感をフルに発揮する”極めて知的な作業”なのだ。

その料理を続けていれば、聡明さも鍛えられて人生も心も豊かに味のある人になれるような気がする。
いまからでも遅くはない、ささっとなんでも作れる”いい女”でありたい。

日ごろから美味しい!何度でも作りたいと思うものはレシピノートに書き溜めて、
本書とキッチンの横に常備本として置いておこう。

 

 

 

 

 

 

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