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心に刺さるストーリー。CMからブランディングを考える。

食卓で、ふと目をやったテレビCMのその数十秒、数分で目頭が熱くなり、泣きそうになっているのが恥ずかしくてうつむきながらご飯をかき込んだ経験のある方は多いのではないでしょうか?

わたしもよくあります。ディレクター五味です。

広告の溢れた現代で、人は広告宣伝に対して不感症になっていると言われています。それでもバズる広告、人の心に残る広告、というのは少なからず存在します。

今回は、そんな”人の心を動かす”CMをご紹介したいと思います。

 

カロリーメイト「見せてやれ、底力。」

一番目にご紹介するのは、カロリーメイトの「見せてやれ、底力。」

ストーリーは、大学受験本番の教室から始まります。

黒板に書かれた試験の開始時刻と終了時刻が消え、主人公が過ごしてきた受験生活の様子が黒板アートによって描かれています。

最後に現実の主人公の凜とした顔を映すことで、明るい未来を想像することができます。

このCMには受験を経験した方なら誰でもグッときてしまうのではないでしょうか。

 

やれることは、やってきた。逃げなかった。

そう心の底から、腹の底から思える努力のことを、

人は底力って呼ぶんだと思う。

大丈夫。キミは逃げなかった。そのことを、

一番近くで見てきたカロリーメイトは知っている。

 

カロリーメイトのコンセプトは、健康維持に欠かせない5大栄養素をバランスよく、いつでもどこでも手軽に摂ることができる「バランス栄養食」。

勉強で朝から深夜まで忙しい受験生に向けて、うまく刺さるメッセージを伝えていますよね。

しかし、なぜ受験生ではないわたしが、このCMにグッときたのか?

その理由は、”共感”です。主人公を自分と重ねて、黒板に繰り広げられる努力の日々と、くじけそうなときにも支えてくれる人がたくさんいる、というメッセージをストーリーの中から感じ、励まされたのです。

そして受験当日の朝、カロリーメイトを渡してくれるお母さん。一番最後に黒板に大きく映る「Calorie Mate」の文字。そこで無意識のうちに「カロリーメイトはわたしを応援してくれている」というメッセージも受け取っているので、なんだかカロリーメイトを食べたら頑張れる気がする…という気がしてくるのです。

総枚数6,328枚の黒板アートも圧巻ですので、ぜひ見てみてください。

 

 

大成建設「地図に残る仕事。」

二番目にご紹介するのは、大成建設の「地図に残る仕事。」

シンガポールで国の中央部を南北に縦断する地下鉄の工事に携わる主人公。

同窓会に行けないことを残念に思いながらも、仕事に誇りを持って頑張っていることが伝わってきます。

 

「本当はあの頃が恋しいけれど、でも、、(中略)、、

 わたしのつくるこの地下鉄も、きっといつか誰かの青春を乗せるから」

 

なぜこのCMにわたしがグッときたのかというと、”誰かのために仕事をする”という主人公の思いに共感したからです。同窓会に行けないのは悲しいけれど、この地下鉄も青春の日々にみんなと登下校で乗っていた電車のように使われるのかもしれない。だからもう少しがんばります、と。「地図に残る仕事。」というキャッチも素敵ですよね。

たった30秒の中に、主人公が過ごした青春の懐かしさ、同窓会に行けない残念な気持ち、それでも仕事に誇りを持って頑張るという真摯な気持ち、様々な感情が伝わってきます。

世の中には様々な商品がありますが、商品に対して特別な感情が生まれたとき、その人にとってその商品の価値が上がるのだと言われています。ですので、お客さんの感情を設計することは、ブランディングにおいてとても重要です。

ちなみにこのCMには「自分語りがうざい」「海外で仕事してるアピール」などTwitterで批判の声も多くありますが、それだけ多くの人の関心を集めているCMということにもなりますよね。

 

 

日清食品「HUNGRY DAYS アオハルかよ。」

三番目にご紹介するのは、日清の「HUNGRY DAYS アオハルかよ。」

「青春」というテーマ設定のもと、国民的な主人公が、もしも現代の高校生だったら?を描いた新しい表現方法で、若者を中心に話題を巻き起こしました。

BUMP OF CHICKENのサウンドも”青春っぽさ”に効いていますよね。

わたしがこのCMを魅力的に感じた理由は、誰もが知る国民的アニメーションが自分たちと同じ世界にいる、という親近感と、短い時間の中でクオリティの高いアニメーションとストーリーに引き込まれ、キャラクターが繰り広げる青春の日々に思わずキュンとしてしまったところにあります。

このCMは、食品類のCM好感度1位に輝き、キャンペーンのターゲットである高校生・大学生の喫食率が前年比8%増となるなどキャンペーンが終わってもなおバズり続ける大成功を収めています。

この「HUNGRY DAYS アオハルかよ。」はシリーズとしていくつかのストーリーがありますが、シリーズを通して青春のキラキラとした世界観が出来上がっています。まさに青春の真っ只中にいる高校生や大学生には、強い共感を得たのではないでしょうか。

さらに独自の世界観に何度も見たくなる仕掛けや、「アオハルかよ。」という思わずハッシュタグしたくなるキャッチなど、SNS時代にあった施策がふんだんに盛り込まれています。

 

 

まとめ

テレビやラジオのCMは、ドラマやアニメなどの番組に比べると圧倒的に時間の短いコンテンツです。

数十秒という限られた尺の中で伝えたいことを表現をするのはとても難しく、インパクトのある映像や音楽を作れるのか、洗練されたキャッチコピーを流せるかなどがそのCMの成否を決めるといっても過言ではありません。

伝えたいことを表現をすること、インパクトのあるメッセージ、などウェブサイトとも少し似ていますよね。CMからもらえる制作のアイデアもたくさんあります。

 

広告が溢れた現代に、心に刺さるのは人々の共感を呼ぶ”ストーリー”と”世界観”だと思います。

そのために必要なのは、”ブレないブランディング”

ブランディングは、目先の売り上げでなく、将来の売り上げにつなげるためにやるものだと思うのです。

ただ売るためではなく、世の中を良くしたい、というその思いに人は動かされるのかもしれませんね。

 

参考文献

見せてやれ、底力。 | 東京コピーライターズクラブ(TCC)

カロリーメイト 製品ストーリー|大塚製薬

日清食品 – HUNGRY DAYS アオハルかよ。 | PROJECT |

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