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私が足しげく美術館へ通う3つの理由
こんにちは。ウェブエイトの美人秘書 伏見由紀です。
突然ですが、あなたはA4のコピー用紙を一枚手渡され
「これはどんな形をしていますか?」
と問われたら、何と答えますか?
おそらく多くの人が「四角形」
もしくは「長方形」と答えるでしょう。
私はおそらくこう答えます。
「一本の線です」と。
A4のコピー用紙を平らに置き、広い面を見れば四角い長方形に見えます。
しかし少しだけ見る意識と角度を変え「紙の側面」を見てみるとどうでしょう?
薄い紙の側面は「線」として捉えることができます。
何事においてもこのように多角的・多面的な見方をすることで、
多様な発想をすることができ、本質を見極める感覚や思考を養うこともできると考えます。
足しげく美術館やアートギャラリーを訪れる3つの理由
コロナ禍で長期に渡り東京へ出向くことができず、
この2年間、開催を知りながらも見逃さざるを得なかった貴重な美術展が数多くありました。
東京への往来がいつでも自由にできるようになることを願うばかりの今日このごろです。
さて、私が足しげく美術館やアートギャラリーを訪れるのにはいくつかの理由がありますが、
今日は主な3つの理由をお伝えします。
まず1つ目の理由は「心の充足と癒やし」
2つ目は「自分の中に内在する世界観の確認と意識の質を高める」
3つ目は「表現者との間で交わす無言の会話と思考」
心の充足と癒やし
まずは単純に、心が枯渇すると心の底から自然と
「美しいものを見たい、創造的なものに触れたい」という強い欲求が湧き上がってくるのです。
時には目の前にある作品に自分の心を委ね重ね合わせることで感極まり、美術館の中で涙を流すこともあります。
作品やアーティストと想いが共感し共鳴し、涙を流すことで心が癒やされるのかもしれません。
琴線に触れる素晴らしい作品に巡り合うと、
そこにはある種の「エクスタシー」を感じ、脳内にアドレナリンが走り恍惚感を感じるのです。
さらに、作品を鑑賞し想いを巡らすことで感覚が研ぎ澄まされます。
感覚が研ぎ澄まされると、洞察力も上がり人とコミュニケーションを交わす際、
0.001秒という瞬間の中に垣間見える、相手の少しの表情の変化や仕草、
言葉のニュアンスを読み取り心の機微を捉えることができるようになります。
そうすることで、作品に共感・共鳴するだけではなく、人の心にも共感し共鳴できるようになるのです。
私は常に、美しいものを見て感動したいと思うと共に、
人に寄り添うことができる人間でありたいと思っています。
そして人に寄り添うことで喜びを得ることができた時、心の充足と癒やしを感じるのです。
自分の中に内在する世界観の確認と意識の質を高める
美術鑑賞をすること、それは時に自分の中に内在している「自分の世界観」を確認する作業でもあります。
外部環境からの刺激や内発的な感覚も含め、
幼いころから少しずつ築き上げられた「自分がもつ世界観」や「個性」というもの、
“伏見由紀”という自分を構成している世界観を確認するための作業です。
自分が好きなもの、嫌いなもの、美しいと思うもの、そうではないもの。
心が自然と動くモノゴトを常に見つめることで、意識の質を高め、自分の中に内在する「世界観」を作り上げています。
自分が成りたい人間像のようなものを見極めていく作業です。
とは言っても
「自分の世界観を確認するぞ!」とか
「よし!自分がなりたい人間像を見極めるぞ!」
などと意気込んで美術館を訪れるわけではありません。
特に強く意識したことはありませんが、幼い頃から自然とその作業を感覚的に行ってきたため、身に付いてしまっています。
では、その「自分の世界観を確認し個性にしていく作業」がどういうものか、
車を例に挙げてみましょう。
あなたはどの車が好きですか?
・イタリアンデザインの速そうなスポーツカーが好き!
・黒くてシックなスポーツカーが好き!
・可愛らしいカラフルなデザインの小型車が好き!
・4WDで自然の中を走るワイルドなジープが好き!
・どっしりした大型車が好き!
・個性的で誰も乗っていないようなデザインが好き!
車一つをとってみても人それぞれ好みが異なります。
それ以外にも様々な価値観が複雑に融合してその人の「個性」になるわけです。
そのような、自分の世界観を構築する作業を、潜在意識のレベルで自然にやっている気がします。
また、美術館やギャラリーなどを訪れ、自分以外の人間が創造表現する世界を見ることで、
クリエイティブ能が活性化され、見る目も養われるため、感覚も研ぎ澄まされるのです。
その研ぎ澄まされた感覚が蓄積されることで「自分の世界観」や「個性」というものが築き上げられているように思います。
表現者との間で交わす無言の会話と思考
美術館に行っても、何をどのように見れば良いかわからない。
特に現代アートは理解し難く、どのように鑑賞すれば良いかわからない、という声をよく耳にします。
そんな時は、“目の前にある事実だけを捉えてみる”ことで見えてくるものがあるかもしれません。
例えば、ジェフ・クーンズという現代アーティストの「バルーン・ドッグ」という作品を取り上げ、目の前にある事実だけを捉えてみます。
この作品は、どんな素材でできていて、どんな感触で、どのぐらいの大きさだと想像しますか?
mirror-polished stainless steel with transparent color coating
121 x 143 x 45 inches
307.3 x 363.2 x 114.3 cm
© Jeff Koons
5 unique versions (Blue, Magenta, Yellow, Orange, Red)
1994-2000
目に見える事実だけを言葉にしてみると、おそらくこんな回答になるのではないでしょうか。
・風船を捻じ曲げて作ったバルーンアートの犬
・針を刺したら萎んでしまいそう
・ツヤツヤと輝いている
・軽そう
・子どもが喜びそう
このように一見すると、風船で動物などを作るバルーンアーティストが、
細長い風船を目の前で手早く捻じ曲げ作ってくれた犬のように見えます。
しかしこの作品の実物はなんと!
ピカピカに磨き上げられたステンレスでできており、高さが3m以上もある彫刻なのです。
ちなみに彼の作品は、2019年5月、ニューヨークのアートオークションで
約99億円という高値がつきました。存命作家としては最高額での取り引き額です。
作家本人が意図することやコンセプトを読み取ることができなくても、
何かしらの驚きや意外性を見出すことができます。
・風船という「軽さ」と、ステンレスという「重さ」との対比
・風船の「柔らかさ」に対する、金属のひんやりとした「硬さ」や「冷たさ」
・可愛いらしい「風船でできた小さな犬」に対し、3メートル以上もある「巨大な犬の彫刻」
それらは皆「人間の目の錯覚」であったり「思い込み」だったりするのです。
軽いとは何か?重いとは何か?重力とは何か?
錯覚とは何か?思い込みとは何か?
美術鑑賞に正解はありません。
ジェフ・クーンズ本人がどのような意図で制作したのか、正解など求めなくても良いのです。
この作品の見方の一つとして、
「バイアスのかかった色眼鏡で見ることの是非を示唆している作品」であるのかもしれません。
・目に見えていることが真実なのか?
・思い込みではないのか?
・違う見方はできないか?
そのようなことが発想できれば、十分にアート作品を楽しんで鑑賞することができます。
更にはなぜそのような作品を制作したのか、
歴史的背景や世界情勢を投影しながら、作者の思考プロセスを想像し再思考することで、
表面的ではない「モノゴト」の本質を見極め捉えることができます。
ビジネスにおいて、これまでの論理的・理性的スキルに加え、直感的・感性的スキルも重要視される今、美術作品を鑑賞することで得られることは多いと考えます。
大きくはこのような3つの理由から、私は美術館やギャラリーを定期的に訪れ、
自分の感覚をバージョンアップしています。
そうすることで充足感を得られるのです。
美術鑑賞をするメリットとまとめ
【1】心を癒やし、感覚を研ぎ澄ますことで洞察力が上がり、共感・共鳴する力が備わる。
→ そうすることで、人に寄り添うことができる人間になれる。
→ 人との信頼関係を築くことができる。
【2】自分の中に内在する世界観を見つめることで、
自分の個性を再確認し表現豊かな人間になれる。
→ そうすることで、自己肯定感も養われる。
→ 自分の個性を見出し、唯一無二の存在になれる。
→ 自分と人を比較することがなくなり、妬み、嫉み、ひがみのない心を持つことができる。
【3】審美眼を持つことができ、多角的・多面的に思考することができる。
→ そうすることで、人とは異なったアイデアや発想ができる。
→ 偏った見方や考え方をしなくなる。
→ モノゴトの本質を見極め捉えるスキルが身につく。
最後に・・・
さて、今、A4のコピー用紙を手渡され
「これはどんな形をしていますか?」
と問われたら、あなたは何と答えますか?